34歳からはじめる自由帳

あれが好きななにかについて言葉にするブログだわんわん。チャームポイントは誤時脱字。

「ようこそ世界へ」

 後輩と飲んだ。後輩は子供が欲しかったけど嫁は欲しくないらしい。「あくまで現在は」という留保をつけて、大好きな人と一緒にいるために子どもを諦めることにしたという 。結婚はしたいか?子どもはほしいか?と聞かれた。

 

 したいです。欲しいっていうと自分の所有物みたいだけどもう少し突き放して会ってみたいと思えると答えた。

 

 後輩は日本の長期的でマクロな政治経済の動向からオワコン日本で子供を産むことってどうなのみたいにいう。あと、お前はなんだかんだ言って自殺したい、自殺を一つの美しさの現れだと思ってるだろとか何度も言ってくる。思ってねーよ。まじで思ってねえ。

 

 いや、お前は俺のことを大学生のころからずっと知ってるからそう思うのも無理はないと思うよ。

 

 後輩と出会ったのは大学生のときだった。当時、おれは世の中を激しく憎んでいで、人との関係でも斜に構え、人生なんて失望と闇の連続だと思ってた。

 B3の頃の口癖は「死にてえ」である。そういうわけで冴えないラッパーみたいに延々と昼間っから社会への不満と不正義への文句を論理的な批判として吐き続け、朝から晩までのチェーンスモーキングから、日が暮れたら我を失うくらい酩酊する毎日を過ごしては、そんな自分を面白がってくれる人と飲んで粗相しまくっていた。

 

 素面な時には尻ポケットに理屈っぽい新書とくそったれな近代日本文学の文庫を刺していた。高田馬場では太宰や漱石が50円で買えた。ストゼロより安い。

 

 やけっぱちである。自己破壊的だ。デカダンスウォッカ(300円)、太宰治天童荒太。あと、芥川龍之介。物質嗜癖。馬鹿田大学落第生。

 

 女への依存とつながりうるきっかけもあったが、付き合った女が段違いのゴリゴリのメンヘラで二度と女関係でしくじるまいと思う始末(3週間でバックレた)。世の中はうまくいかないものである。それでも、それでもクスリに行かなくてよかったあ。

 

 今の自分はどうだろう。いや、30歳を境に結構大きな出来事があったんだよ。まだうまく生きられてないですけど。酩酊することもよくあるよ。前よりは全然いいけどね。

 

 子どもの話に戻る。子供ができたとする。きっと子供はクソみたいなことも経験して、比ゆ的に言えば魂が変質するほど傷つくこともたくさんあるんだろう。

 

 でも、いいことも結構あるんだよ。世の中の本当に汚泥みたいなクソな部分を知らずに幸せそうな人がいたり、嫌なことばかりしか経験できず亡くなってしまう人もいる思う。

 

 あと、ドーパミン足りなくていろんなものに依存してるひととか。とはいっても、ダメなことしかないわけじゃない。

 

 昔、fujiponさんが子どもが生まれた時に感じたことを文章にしていてすごく感動した。うん。後輩が言うようにオワコン日本で子どもを産むって何だろうな。

 

 最初の問いに戻る。子どもに会ってみたい。そして、子どもに会ったときに「ようこそ」って言いてえなあっておもう。今のおれは初めて子どもと会ったときに、きっと、「ようこそ世界へ」って祝福できるようになってると思う。

 

 やっと。やっとだ。おせえよ。アラフォーやぞ。本当にいつも成長の速度が遅いし足りてないと思う。それでも、今の社会に生きる一員として、新しく一員になる人にそう言えるようになった。やっと言えるようになったんだと思う。

 

 だからこの言葉は本当に大切にしたい。知り合いのごりごりのヤリチンが毎日つぶやいてた「おはよう日本」の対ではあるんだけど。

 

 それでもいつかは言いたいと思っている。「ようこそ世界へ」

 

 ここはくそったれな事件にあふれているけど、それでも素敵な出来事もすくいきれないほどある。

 

 世界はきっと美しい(そういうことの方がきっと多い)。「だから、君にも世界を見てほしいんだ。」そんなことを伝えたい。