34歳からはじめる自由帳

あれが好きななにかについて言葉にするブログだわんわん。チャームポイントは誤時脱字。

過剰なチーズナン

 コロナは食生活も変えてしまう。

 

 コロナ対策で三密がどうのみたいな話があって、飲み会ができなくなった。弊社でも在宅勤務が部分的に導入されて自宅で一人パソコンに向き合う時間が増えた。つまるところ、公私ともに人間関係が不足しているのである!もうね!!ストレスが!!!溜まる!!!!キャンプもできねえってよ!!!!!

 

 ストレスが溜まると食生活に変化が起きる。とにかく辛いもの、それも激辛が食べたくなる。前から近場の中華料理屋でときどき激辛麻婆豆腐丼を食べてた。じゃあコロナ以降もここに行けばいいと思うじゃん?でもさ、ここも自粛でやってねえんだよ!衛生観念の高い中国人の店だった。良きこと。

 

 そうして、他に行き場のないストレスのおかげで出勤日の昼食は毎回激辛のカレーになった。弊社の周りには何軒かガチっぽいカレー屋さんがある。インド人とかネパール人がやっているそれだ。ローテーションを組み、毎日違うお店を周る。好みのランチセットはマトン系+激辛+ナンで、どのお店でもこれを頼む。

 

 ある金曜日、その日のお昼は普段より余分にむしゃくしゃしていて、ついにやってやった。余分に200円払い、ただのナンをチーズナンにバージョンアップしてやったのだ。カロリーを気にしていると頼めない一品である。いつもどおりの注文だと思っただろ、意外だろ、ざまあみろ。

 

 

 その店のホール担当のネパール人はいつも一切表情を見せない。チーズナンの注文にもまったく驚かなかった。そんな彼が持ってきたチーズナンはいつものナンとは明らかに違った。

 

 普通のナンはその形状が緩やかなひょうたん型で厚みが不均一だ。それに対してチーズナンは円型で、ちょうどまん丸いクリームパンを平べったく潰したものをイメージして欲しい。チーズにあたるのがクリームだ。これにピザを切り分けるように切れ目が入っている。

 

 眼の前のチーズナンである。その均一な厚みからチーズがたっぷりはいっていることがうかがえる。というか、いくらなんでもちょっと厚くないか。さすがにチーズが多い気がする。加えてナンの上にもチーズが乗っている。力強く雑な一品である。

 

 お腹が空いているので、急いで出されたチーズナンを一切れつまみ、カレーにつけて口に運ぶ。そうして驚く。

 

 これは、、、過剰だ、過剰な味がする。脳から変な神経伝達物質が大量に出ている気がする。IQが下がる。明らかにチーズが多い。というか、味の情報量が多い。

 

 これまでの昼食が、カレーの持っているしょっぱ+辛+ほのかな甘味+オイリーな旨味+様々なスパイスの奥行きをナンとともに味わうものだったのに対して、そこに暴力的な旨味がかぶさっている。ていうか味覚を通じた暴力が振るわれている。

 

 明らかに過剰だ。脳を直接素手で掴んで旨味を感じるツボを押されたようなインパクトがある。チーズダッカルビが似てないこともないがもっとすごい、というかひどい。小林銅蟲の料理っぽい。肩ロース氏を初めて食べたときに近い。

 

 あと、おれが過剰なアラ汁と呼んでいる料理っぽい。普通のアラ汁が骨類を煮込んで出汁を取るのに対して、過剰なアラ汁はそこからさらにアラを粉砕して出汁を取ることで見た目を超えた想定外の旨味を実現する。旨味が強すぎて〆に寿司屋で出したら大将にぶん殴られる料理だ。

 

 チーズナンはもちろん完食した。食べ終わった俺は多幸感に満たされていた。カロリーのことは忘れた。

 

 結局なんだったんだあれは、ということで日を改めて今日は別のお店でチーズナンを頼んだら、常識的なチーズの量で暴力というほどではありませんでした。それでも過剰でうまい。

 

 

https://www.instagram.com/p/CAEqGmqg8qV/

安田顕一郎’s Instagram profile post: “チーズナンうますぎるんだけどなんでなん”

 

 これからも検証を進めていきますが、あのチーズナンは表情のないネパール人の店でしか味わえないものなのかもしれない。だから、一般的なチーズナンとは区別して、過剰なチーズナンと呼ぼう。

 

 すげえ長文にも関わらず、大切な情報を書きそびれました。ローテーション組んでる店の中でその店のカレーが一番うまくないです。